多くの電子機器で使用されるワイヤーハーネス。
ワイヤーハーネスとは、複数の電線を端子やコネクタで接続・結束し、機器内の配線を整理・保護する部品です。
ワイヤーハーネスの役割をなんとなくは知っていても、製造工程まで把握している購買担当者様や開発担当者様は少ないのではないでしょうか。
本記事では、特に、東邦電線工業が得意とする「比較的シンプルな構造のハーネス加工」を中心に、短納期かつ高品質の製品をどのように製造しているのかを紹介します。
加工依頼先の製造工程を理解することは、適切な加工委託先の選定や品質リスクの低減につながります。
ぜひ最後までご覧いただき、パートナー企業の選定にお役立てください。
ワイヤーハーネスの製造工程を理解しよう
ワイヤーハーネスは、用途や設計に応じて形状・構造が異なることが多く、カスタム性が高い部品として扱われます。
製造工程は、電線の切断、端子の圧着、コネクタへの挿入、検査・出荷までのステップで構成され、工程ごとに求められる技術や管理項目が異なります。
東邦電線工業では、こうした工程に積極的に自動化・機械化を進め、品質と納期を両立する体制を整えています。
ワイヤーハーネスの基本的な仕組みは「ワイヤーハーネスとは?構造・用途から製造工程まで専門加工メーカーが解説」の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
ワイヤーハーネスの主要な製造工程をステップ解説
ワイヤーハーネスの基本的な製造フローを紹介します。
それぞれの工程で何が行われ、どこに品質上の注意点があるのかを把握することで、製造全体の理解が深まり、外注時の判断材料としても役立つでしょう。
STEP①:電線切断(カット)
STEP②:被覆剥き(ストリップ)
STEP③:端子圧着
STEP④:半田付け
STEP⑤:コネクタ挿入・組み立て
STEP⑥:結束・外装処理
STEP⑦:検査
STEP⑧:梱包・出荷
① 電線切断(カット)
自社で製造した電線を所定の長さに正確にカットする工程です。
精度のばらつきや無駄な長さは後工程に影響し、組み立て不良の原因にもなるため、切断には精密さが求められます。
一般的に、自動機を用いてカットすることが多いですが、多品種少量生産の現場では、カッターによる手作業で切断を行うこともあります。
東邦電線工業の強みは、全自動挿入機や全自動圧着機で電線切断に対応している事に加え、φ500の大型ボビン巻で自社製造電線を保管・供給している点にあります。
巻き癖が付きにくいため、電線切断時の精度が安定し、カット誤差等のリスクを抑制できるのです。
② 被覆剥き(ストリップ)
被覆剥き(ストリップ)の工程では、電線の外装であるシースや絶縁体を適切な長さで除去し、導体(銅線など)を露出させます。
一般的な工程としては、まず電線を指定の長さに測長し、刃物を被覆に入れる「歯入れ」、その後に被覆を剥き、導体を露出させます。
この際、刃が深すぎると導体を傷つけてしまい、浅すぎると被覆がきれいに剥かれず、不良の原因になります。そのため、被覆剥きは高い精度が求められる重要な工程です。
東邦電線工業では、全自動挿入機や全自動圧着機を導入し、手作業よりも安定した品質と作業効率を実現。
用途や電線の種類に応じて最適な条件設定を行うことで、不良リスクを最小限に抑えた加工が可能です。
電線とハーネスの違いについては「電線とハーネスの違いや関係性は?ワイヤーハーネス加工業者選定のポイント」の記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
③ 端子圧着
端子圧着とは、露出した導体部に図面で指定された端子を取り付ける工程です。
最も一般的な圧着方式では、端子と導体を専用工具で強く押しつぶし、金属同士を密着させて電気的接続を確立します。
圧着方法には手動工具による方式と機械による方式があり、端子形状や電線の太さに応じて適切な歯型を使い分けます。
東邦電線工業では全自動挿入機や全自動圧着機を使用しているため、電線カットから圧着まで連続した処理が可能であり、高精度かつ効率的な圧着を実現しています。
④ 半田付け
半田付けとは、電線の芯線とコネクタ・ピン・基板などを加熱した半田で接合する工程です。
半田は錫をベースとした合金で、約200℃前後で融解し、冷却時に固体化する特性を利用して金属同士を電気的・機械的に接続します。
全てのワイヤーハーネスに必要な工程ではありませんが、製品仕様に応じて適用される重要な加工です。
例えば、太線や特殊端子などでは、圧着と半田を併用して接続の信頼性を高める場合もあります。
半田ごてと糸半田を使って手作業で行う方法もありますが、東邦電線工業では半田を使用する工程はすべて鉛フリー半田を使用し、全自動片側挿入機や全自動圧着半田機による予備半田付けが可能です。
自動化により加工精度の安定化と納期短縮を両立しています。
⑤ コネクタ挿入・組み立て
次に行うのは、圧着した端子をコネクタに挿入し、電線をまとめる工程です。
コネクタへ挿入する際は、図面通りの位置に正確に収める技術力が必要です。
また、多芯構造の配線では、挿入順序や位置の管理が特に重要となり、正確性を欠くと重大な問題が発生しかねません。
東邦電線工業では、手作業と比較してミスのない全自動挿入機により、正確かつ高速な挿入を行い、ピン抜け等の不完全挿入の無い安定した品質を維持しています。
⑥ 結束・外装処理

コネクタ挿入後、複数の電線をまとめて保護し、最終的な形状を整える工程です。
結束バンドやテープ、熱収縮チューブなどを用いて、配線のばらつきや摩耗、振動による断線を防ぎます。
使用環境に応じて柔軟性や耐熱性の高い素材を適切に選定することが、製品の信頼性向上につながるのです。
東邦電線工業では、自社専用のオリジナル治工具を使用し間違いのない結束処理等を行う仕組みを取っております。
⑦ 検査

出荷前の品質確認では、主に下記のように導通試験、引張試験、外観検査の各工程で厳格なチェックが行われます。
| 導通試験・・・断線・短絡・誤配線を検出する 引張試験・・・圧着部や端末の耐力を評価する 外観検査・・・寸法や圧着状態、ピン抜け、汚れ・傷などを目視で確認する |
東邦電線工業では、全自動両側挿入機で製造したハーネスは全自動両側挿入機工程内にて導通引張確認が行われ、また手作業で製造されたハーネスは、AIによる画像認識技術などの最先端検査手法と手作業による確認を組み合わせた二重チェック体制で、安定した製品品質を維持しています。
ワイヤーハーネスの品質や管理体制については「ワイヤーハーネス品質を支える管理体制とISO規格」の記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
⑧ 梱包・出荷

最終検査をクリアした製品は、仕様や輸送条件に適した方法で丁寧に梱包されます。
静電気対策や折れ・潰れ防止の緩衝材を用いることで、輸送中の品質維持を徹底。

東邦電線工業では納期厳守とともに、製品ラベルやロット管理によりトレーサビリティにも対応しています。
品質と納期を守る最終工程として、確実な出荷体制を構築しているのです。
ワイヤーハーネス製造における自動化と手作業の役割
ワイヤーハーネス製造は、すべての工程が自動化されているわけではありません。電線の切断や圧着は設備による自動化が進んでいますが、組立や検査などでは手作業が必要になる場合も多いのです。
ここでは、自動化しやすい工程と手作業が必要な工程、それぞれの役割について解説します。
工程ごとに最適な製造方法が異なる
ワイヤーハーネス製造では、工程ごとに最適な製造方法を選択することが重要です。
工程によって求められる作業内容や精度が異なるため、自動化設備と手作業の得意分野が異なります。
例えば、電線の切断や端子圧着などは自動化しやすい一方で、複雑な組立や最終検査などは、人の技術や判断が求められる場合も少なくありません。
そのため、工程ごとの特性に応じて最適な製造方法を選択することが、高品質なワイヤーハーネスの製造につながります。
自動化しやすい工程
ワイヤーハーネス製造の中でも、加工条件を数値で管理しやすい工程は自動化が進んでいます。
主な工程としては、
- 電線切断
- 被覆剥離(ストリップ)
- 端子圧着
- 半田付け
などが挙げられます。
これらの工程を自動化することで、品質のばらつきを抑えながら生産効率の向上が期待できるのです。
手作業が必要な工程
複雑な工程では、自動化設備だけでなく、熟練作業者の技術を組み合わせることが品質確保につながります。
ワイヤーハーネスは製品ごとに長さや分岐数・コネクタの種類などが異なり、多品種少量生産にも対応する必要があるためです。
例えば、複雑な配線の組立やコネクタへの挿入作業などは、製品の仕様や生産数量に応じて、自動化設備と手作業を適切に使い分けながら製造されます。
自動化が難しい工程では、熟練作業者による確認や調整が、品質を支える重要な役割を担っているのです。
このように、工程ごとに自動化設備と人の技術を最適に組み合わせることが、高品質なワイヤーハーネスの製造につながります。
ワイヤーハーネスの製造工程の自動化は難しい?
ワイヤーハーネスを複雑に加工する場合、現在でも完全な自動化が難しい工程があります。
ここでは、ワイヤーハーネス製造の自動化が難しい理由について解説します。
多品種少量生産が多いから
ワイヤーハーネス製造が難しい理由の一つが、多品種少量生産が中心であることです。
産業機器や制御盤・遊戯機器などに使用されるワイヤーハーネスは、製品ごとに長さや分岐数、コネクタの種類が異なり、案件ごとに仕様が変わるケースも少なくありません。
そのため、大量生産を前提とした自動化設備では、製品ごとに段取り替えや設備調整が必要となり、生産効率が低下するケースがあります。
このように、多様な仕様への柔軟な対応が求められることが、ワイヤーハーネス製造の自動化を難しくする要因の一つです。
電線は柔軟で高精度な加工・組立が難しいから
ワイヤーハーネス製造では、電線が柔軟で高精度な加工・組立が難しいことも、自動化を難しくする要因の一つです。
金属部品とは異なり、電線は曲がりやすく”長さや太さ”によって挙動が変化するため、設備だけで安定した加工や組立を行うことは容易ではありません。
例えば、配線の取り回しや結束・コネクタへの挿入などは、電線を正確な位置へ配置しながら行う必要があり、高い精度が求められます。
特に複雑な形状のワイヤーハーネスになるほど、設備だけで安定した品質を維持することは難しくなります。
このように、電線特有の柔軟性により高精度な加工・組立が求められることが、ワイヤーハーネス製造の自動化を難しくする要因の一つです。
最終品質には人の目による確認も重要だから
ワイヤーハーネスは、わずかな配線ミスや端子の挿入不良が重大なトラブルにつながる製品です。
導通検査や各種検査設備によって品質確認を行うことはできますが、最終的には外観や配線状態などを人の目で確認する工程も重要になります。
例えば、
- 電線の取り回しに問題がないか
- コネクタが正しく組み付けられているか
- 配線に傷や変形がないか
といった項目は、経験豊富な作業者だからこそ気付ける場合もあります。
高品質なワイヤーハーネスを製造するためには、設備による検査と人による確認の両方が欠かせません。
自動化と手作業を組み合わせることが品質向上につながる
ワイヤーハーネス製造では、自動化による安定した品質と、熟練作業者による柔軟な対応の両立が重要です。
切断や圧着などの工程は自動化によって品質の安定化や生産効率向上が期待できます。一方で、複雑な組立や最終確認などは手作業の方が適している場合もあります。
そのため、多くのワイヤーハーネスメーカーでは、
- 自動化設備による安定した加工
- 熟練作業者による組立・検査
を組み合わせることで、高品質な製品づくりを実現しているのです。
東邦電線工業でも、自動化できる工程は積極的に機械化を進める一方、複雑な工程では熟練作業者の技術を活かし、品質と生産性の両立を実現しています。
東邦電線工業の強み|自動化と熟練技術のハイブリッド製造
東邦電線工業では、電線製造からワイヤーハーネス加工・検査までを自社で一貫対応しています。
自動化が可能な工程には専用機械を導入し、人為的なミスや作業ばらつきを排除。
一方で、機械では対応しきれない工程については、30年以上の熟練作業者の目視確認や補助作業で補完する体制を整えています。
この自動化と熟練技術のハイブリッド体制は、特に構造が標準的・シンプルなワイヤーハーネスにおいて威力を発揮します。
東邦電線工業では、電線から自社で製造することによるリードタイム圧縮に加え、設備主導の高効率により、短納期・高品質対応を実現。
ワイヤーハーネスの短納期対応やお見積りについては、ぜひお気軽にご相談ください。