現在、電子機器のグローバル展開において「機能」と同じくらい重要視されるのが「環境規制」への対応です。
しかし、電線・端子・コネクタなど、多種多様な素材の「集合体」であるワイヤーハーネスは、製品の中でも特に含有物質の管理が難しく、意図しない規制不適合が起きやすい部品でもあります。
本コラムでは、ワイヤーハーネス調達において避けて通れない「RoHS指令」「REACH規制」対応へのポイントや、製品をリスクから守るための東邦電線工業の管理体制について解説します。
なぜワイヤーハーネスに厳しい環境対応が求められるのか
ワイヤーハーネスは電子・電気機器に欠かせない配線部品として、機器内部に血管のように張り巡らされる重要部品です。
しかし、被覆材や金属部品、はんだ等の接合部材など、多様な材料が使用されているため、化学物質管理の難易度が高い部品の一つでもあります。
特に欧州(EU)では、環境負荷低減や人への健康被害防止を目的とした規制が厳格化しており、適合しない製品は輸出できないだけでなく、巨額の罰金や市場からの撤廃、ブランド毀損のリスクを伴います。
そのため、サプライチェーン全体での管理能力を持つハーネスメーカーの選定が重要になります。
【必須となる2大環境規制】RoHS指令とREACH規制
ワイヤーハーネスの欧州向けの輸出で必ず押さえておくべきなのが、RoHS(ローズ)とREACH(リーチ)です。両者は目的やアプローチが異なります。
- RoHS指令: 特定の有害物質を「入れない(使用制限)」ための規制
- REACH規制: 化学物質の使用状況を「把握・管理する」ための規制
以下、順に見ていきましょう。
RoHS指令(特定有害物質使用制限指令)について
RoHSは「Restriction of Hazardous Substances」の頭文字をとったもので、日本語では「有害物質使用制限指令」と呼ばれています。
これは、欧州連合(EU)が2003年に制定した法律であり、2006年に施行。その後、改正されました(通称「ROHS2」)。
電気・電子機器の製造における特定の有害物質の使用を制限することで環境負荷を軽減し、人の健康を守ることを目的としています。
CEマーキングを貼付してEUへ輸出する製品はもちろん、近年では日本国内やアジア圏の製品でも、RoHS準拠が事実上の「標準仕様」となっています。
RoHS指令によって制限されている物質は現在10種類あり、「RoHS10物質」と呼ばれています。
【規制対象物質(RoHS 10物質)】
| 鉛 (Pb) |
| 水銀 (Hg) |
| カドミウム (Cd) |
| 六価クロム (Cr VI) |
| ポリ臭化ビフェニル (PBB) |
| ポリ臭化ジフェニルエーテル (PBDE) |
| フタル酸ジエチルヘキシル(DEHP) |
| フタル酸ジブチル (DBP) |
| フタル酸ブチルベンジル (BBP) |
| フタル酸ジイソブチル (DIBP) |
中でも、ワイヤーハーネスにおいて特に注意が必要なのは、電線の被覆材(ポリ塩化ビニル)に含まれる可塑剤(フタル酸エステル類)です。
東邦電線工業では、これらの規制物質を含まない部材選定を徹底しています。
REACH規制について
RoHSが「有害物質を入れない」ための規制であるのに対し、REACH(リーチ)規制は「化学物質の流通を管理・把握する」ためのEU規則です。
REACHとはRegistration, Evaluation, Authorization and Restriction of Chemicals(化学物質の登録・評価・認可・制限)の頭文字をとったもので、2007年にEUに導入されました。
REACH規制では、製品に含まれる「高懸念物質(SVHC)」が一定濃度(0.1wt%)を超えている場合、その情報をサプライチェーンの下流(発注者やエンドユーザー)へ伝達する義務が発生します。
つまり、「どの部品に、何の化学物質が、どれくらい含まれているか」を把握し続ける必要があります。
SVHCリストは、通常半年ごとに更新・追加されるため、継続的な監視が必要です。
サプライチェーンの情報伝達を担う「chemSHERPA」とは?
RoHSやREACHに対応するためには、素材メーカーから最終セットメーカーまで、化学物質情報を正確にバトンタッチしていく必要があります。
そこで経済産業省主導で開発され、電気・電子業界を中心に広く普及している国内標準スキームとなっているツールが「chemSHERPA(ケムシェルパ)」です。
従来は、発注者ごとに異なるフォーマットで成分調査が行われており、回答する部品メーカーと集計するセットメーカー双方に多大な負荷がかかっていました。
そこで、chemSHERPAが、これらの調査項目を共通化・標準化しました。
- 正確性の向上: 共通ルールに基づいてデータを作成するため、成分情報の記入ミスや漏れを防げます。
- 効率化: サプライチェーン全体で同じフォーマットを使用することで、データの転記や再入力の手間を大幅に削減できます。
ワイヤーハーネスを含む電子部品の調達において、chemSHERPAによるデータ管理は、製品の信頼性を担保する上で欠かせない要素となっています。
参考:経済産業省|製品含有化学物質の情報伝達スキーム(chemSHERPA)について
ワイヤーハーネス専門メーカー「東邦電線工業」の取り組み
ワイヤーハーネスは、絶縁電線、端子、ハウジング、チューブ、テープなど、多種多様な部材の集合体です。だからこそ、一つひとつの構成部材において確実な「環境適合」が求められます。
東邦電線工業では、長年の実績に基づき、環境規制をクリアしつつ、品質・安全性に優れた材料を使用しています。
- PVC(ポリ塩化ビニル)電線・テープ
遊技機や民生機器、産業機器で最も広く使用される材料です。当社では、RoHS2指令に適合していることはもちろん、UL規格やCSA規格などの認証を受けた自社電線や信頼性の高いメーカーの材料を選定して使用しています。 - 各種副資材の管理
見落とされがちな絶縁テープやチューブなどの副資材においても、規制対象物質を含まない正規品を使用し、徹底した管理を行っています。
さらに、東邦電線工業は、環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001の認証を取得しています。
製造プロセスにおける環境負荷低減に取り組むとともに、お客様に安心して製品を採用いただけるよう、グリーン調達の観点からも社内体制の整備に努めています。
高信頼性のワイヤーハーネスなら東邦電線工業へ
環境規制の厳格化により、開発・調達現場での対応負荷は増加しています。
東邦電線工業は、遊技機・民生機器・産業機器分野で蓄積したノウハウをもとに、RoHS指令やUL規格などの要求事項を満たした信頼性の高いワイヤーハーネスをご提供します。
環境対応・規格適合に関するご相談がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。